我が国で食品包装に使用されるプラスチックも15～6種類に及び、PE、PP、PS、PET、PA、PVDC、EVA、PVA、EVOH、PVC、イオン結合樹脂などがあります。そのうち、高酸素バリア性があるのはPVA、EVOH、PVDC、PET、PAなどで、高防湿性があるのはPVDC、PP、PEなどです。耐放射線照射性があるのはPS芳香族ナイロンなど、耐低温性があるのはPE、EVA、POET、PAなどです。耐油性と機械的特性が優れているのはイオン結合樹脂、PA、PETなどであり、高温殺菌と低温にも耐えるのはPET、PAなどです。様々なプラスチックは、単量体の分子構造、重合度、添加剤の種類と量が異なり、特性も異なります。同じプラスチックでも、銘柄が異なれば性質が異なることもあります。

　　食品包装は我が国包装業界において非常に重要な地位を占め、包装業界の基幹産業です。世界包装機関（WPO）の情報によると、世界の包装業界の売上高は5000億ドルを超えており、その構成は紙と板紙が32％、プラスチックが28％、金属が24％、ガラスが6％、包装機械が5％、その他が5％となっています。上位4位を占めるのは紙、プラスチック、金属、ガラスという4大包装材料であり、その合計は食品包装業界の売上高の約90％を占めています。日本では、各種包装材料の総消費量は年平均2.8％の伸びを示しており、そのうち紙と紙製品が4.7％、金属が4.9％、ガラスが3.3％である一方、プラスチックは7.1％に達しています。これは包装材料の発展において、プラスチック材料が最も急速に発展していることを示しており、国内包装材料生産工場は注目すべき状況です。

　　従来の包装材料の特性

　　紙

　　紙は従来の包装材料であり、現代の包装工業体系において、紙と紙製包装容器は非常に重要な地位を占めています。一部の先進国では、紙包装材料は包装材料総量の40％～50％を占め、我が国では約40％を占めています。発展傾向から見ると、紙包装材料の占める割合はますます大きくなるでしょう。これは、紙包装材料が加工使用特性、印刷特性に優れ、一定の機械力学特性を持ち、複合加工が容易で、成形性が良く、衛生安全性が高く、原料が豊富で種類が豊富で、コストが低く、大量生産が容易であるためです。同時に、紙製包装容器は軽量で緩衝性に優れているため、用途が非常に広く、紙製廃棄物はリサイクル可能であり、自然条件下では微生物によって分解され、白色汚染がありません。

　　プラスチック

　　プラスチックは、高分子重合体である樹脂を基本成分とし、その特性を向上させるための様々な添加剤を加えて製造された高分子材料です。分子量は通常104～106以上であり、その高分子は特殊な構造を持ち、化学的惰性、難溶性、高強度などの一連の特殊な特性を持っています。プラスチックを包装材料として使用することは、現代の包装技術発展の重要な指標であり、原料が豊富で、コストが低く、特性が優れているため、過去40年間で世界で最も急速に発展し、消費量が膨大な包装材料となっています。プラスチック包装材料は食品包装に広く使用されており、徐々にガラス、金属、紙などの従来の包装材料に取って代わり、食品包装の面貌を大きく変え、現代の食品包装の豊富さと流通使用の利便性を示しており、食品包装の販売包装において最も主要な包装材料となっています。欠点は、一部の食品の種類において衛生面、安全性に関する問題や、包装廃棄物のリサイクル処理による環境汚染などがあります。

　　金属

　　金属材料は歴史の長い包装材料であり、食品包装に使用されてから約200年の歴史があります。金属包装材料と容器は、金属薄板または箔を原料とし、加工して様々な形状の容器にして食品を包装します。金属包装材料は高いバリア性、優れた機械的力学特性と成形加工特性を備え、同時に優れた耐高温低温特性、熱伝導特性、表面装飾特性を持つため、優れた包装特性、包装効果、生産効率を有しています。また、金属包装材料の廃棄物は比較的容易にリサイクル処理でき、環境汚染が少ない上、溶解して再生利用することも可能で、資源とエネルギーの節約につながります。これは、「グリーン包装」が提唱されている現代において特に重要です。そのため、食品包装への用途はますます広がっており、現代の4大包装材料の1つとなっています。しかし、金属包装材料は化学的安定性が悪く、酸やアルカリに耐性がなく、特に酸性度の高い食品の包装に使用すると腐食されやすく、金属イオンが溶出して食品の風味に影響を与えるため、用途が制限されている面もあります。

　　ガラス

　　ガラスは、石英石、ソーダ灰、石灰石、安定剤を主要原料とし、透明剤、着色剤、脱色剤などを加え、調温溶解後、冷却凝固して作られる非晶質材料です。ガラスは古くからの包装材料であり、食品包装に使用されてから3000年以上の歴史があります。ガラスそのものの利点から、包装材料として使用する場合、高いバリア性、光沢のある透明性、優れた化学的安定性、成形性の良さなどの顕著な特性を示します。しかし、ガラス容器は重量が大きく、割れやすいという欠点があり、食品包装における使用と発展に影響を与え、特にプラスチックや複合包装材料の衝撃を受けています。ガラス業界の生産技術の発展に伴い、現在では高強度、軽量化されたガラス材料とその製品が開発されており、我が国のガラスの使用量は包装材料総量の約10％を占め、依然として食品包装における重要な材料の1つです。

　　食品包装用新材料の継続的な開発により、従来の包装材料に多くの機能が追加され、多くの新技術が食品包装業界で広く利用されています。同時に、環境保護機能を持つ様々な食品包装材料も開発されており、先進国では、ますます深刻化する汚染問題を解決するために、生分解性プラスチック包装材料の開発に力を入れています。これは従来のプラスチック製品に取って代わるものであり、環境に優しい包装はリサイクルと総合利用が可能であるため、環境効果が高く、社会効果も大きく、経済効果も期待できる持続可能な開発型グリーン包装であり、現在では企業にとって重要な経営戦略となっています。

　　食品包装材料の発展は、以下の点で改善を必要とする

　　食品瓶素材の安定性。可塑剤事件により、プラスチック製の食品瓶包装が有害物質を放出し、食品に影響を与えるかどうかについて、人々は疑念を抱いています。実際、現在に至るまで、食品瓶の可塑剤による危害については結論が出ていません。そのため、食品瓶メーカーにとって、食品瓶包装材料の安定性を積極的に向上させることが非常に重要です。

　　食品瓶材料の生分解性。食品瓶は用途が広く、リサイクル率は一般的に低いことから、大量の食品瓶は分解されにくく、土壌環境に大きな危害を与えます。かつてのレジ袋もこの理由で禁止されました。食品瓶は生分解性を高めることで、このような政策リスクを回避する必要があります。

　　食品瓶の耐熱性。人々の食習慣では、食品を加熱することが多くあります。食品瓶に優れた耐熱性があれば、消費者は食品を直接電子レンジなどの環境に置くことができ、消費者の利便性を大幅に向上させることは明らかです。

　　食品包装材料の発展における新たな動向

　　新型食品包装紙

　　保温紙：太陽光を熱エネルギーに変換することができます。この材料で包装された食品を日光に当てると、食品を加熱することができます。包装を開けるまで、熱は逃げません。

　　防腐紙：この紙で食品を包装すると、38℃の高温下で3週間腐敗せずに保存できます。

　　豆渣紙：水に溶け、食品包装などに広く使用されています。主な成分は豆腐かすです。

　　果渣紙：食品工業廃棄物のリンゴかすを主成分とし、食品包装などに使用されます。使用後は容易に分解でき、リサイクルも可能です。

　　プラスチック包装材料の開発動向

　　プラスチック包装は、主にデザインの改良による利便性の向上、複合材料の構造改善によるより厳しい要件への適合が中心です。今後の開発動向としては、多層複合不透気性プラスチック、機能性プラスチック、そして生分解性プラスチックの開発が急速に進んでいます。例えば、アメリカでは乳酸を重合させて生分解性プラスチックを製造し、イタリアではトウモロコシ澱粉を利用して生分解性プラスチックを生産しています。現在、アメリカ、フランス、イタリアなどは数十億ドル規模の生分解性プラスチック市場を独占しています。

　　中国でも生分解性プラスチックの開発は急速に進展しており、ジャガイモやトウモロコシなどの澱粉から作られた食品容器や「光-生物分解」プラスチックなどが開発されていますが、市場占有率はまだ高くありません。

　　生分解性包装材料

　　プラスチック包装材料の発展に伴う「白色汚染」が深刻化する中、人々はそれが人間の生存環境に及ぼす悪影響を認識するようになりました。そのため、世界中で「グリーンパッケージ」の波が巻き起こっています。包装材料のリサイクルを最初に提唱したドイツは「循環経済」を策定し、「グリーン税制度」を実施しました。他の国々も、製造業者、輸入業者、小売業者に包装材料のリサイクルと再製造の責任を負わせるよう求めています。

　　現在、国内外の市場で人気があり、消費者の高い評価を得ている「グリーンパッケージ」には、紙包装、生分解性プラスチック包装、バイオ包装材料などがあります。「人工果皮」は未来の新素材として期待されており、廃棄物はリサイクル可能です。中国では、食用可能な果物や野菜の液体保鮮膜を果物や野菜の包装と鮮度保持に使用しています。科学技術の急速な発展と人々の環境保護への意識の高まりに伴い、包装は機能性の方向へと進化しています。

　　食用可能な包装材料

　　食用可能な包装フィルム：現在、主に研究開発されているのは、動物性タンパク質から作られたコラーゲンフィルム、動物の皮から作られた腸詰めの皮、ホエイタンパク質から作られた乳製品ベースの保鮮膜、大豆やトウモロコシから作られた植物ベースの保鮮膜、多糖類と脂肪から作られた防湿包装膜などです。

　　食用可能な包装箱：主な製品は、トウモロコシ60％、食物繊維30％、その他の穀物10％を主原料とした食用可能な製品です。配合されている食物繊維は機能性食品素材であり、人体に有益で、体内の毒素排出や微小循環機能の向上に役立ちます。この製品は食品衛生基準に準拠して製造されており、食用可能であると同時に、高級飼料としてリサイクルすることも可能です。